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こころ育ての知恵
第12回 上手な親離れ・子離れの方法 2004/6/1 滝口俊子先生の子育てアドバイス
――親離れというテーマで、まず思い浮かぶのは、「お母さんにべったり」というタイプの子どもについてです。周囲からは、「親が過保護だから」「甘やかしているから」などと冷ややかな目で見られることも多く、親は「早く親離れさせなくてはいけないのでは?」と悩んだり、焦ったりしがちです。

(滝口) よく耳にする話ですね。しかし、「親が過保護だから、子どもがなかなか親離れできない」という論旨は、必ずしも正しくありません。なぜなら、親離れは、子どもと親との相互関係だからです。その時期については、主体である子どものパーソナリティによるところも大きいのです。活発なタイプの子どもは、幼いときからどんどん外へ出て行くでしょうし、おっとりしたタイプは、お父さん・お母さんから離れたがらないものです。
保育のプロならともかく、祖父母やママ友達は、自分の経験から子育てについて語ります。ですから、お父さん・お母さんは、周囲の意見に動かされ過ぎないようにしましょう。あなたとお子さんの関係は、親子が納得していることが大切です。いずれ必ず、子どもは親の元を離れていくときが来ますから、「早く親離れさせなくては」と、焦る必要はありません。

――親離れの時期は、子どもによって幅があるということですね。

(滝口) その通りです。しかし、遅くとも小学校中学年くらいになれば、親よりも友達と一緒にいることを好むようになるものです。そのときまで、親子で一緒に過ごす時間を楽しんではいかがでしょう。そして、いよいよ子どもが離れていくときが来たら、親は子どもの後を追わないことです。世の母親たちが、どれだけ子どもを後追いしていることか、実に驚くばかりです。成人してからも、就職先や結婚相手についてまで口を挟むなど、よく聞く話ではありませんか? 
それは、日本の夫婦のあり方も一因となっています。夫と妻が十分にコミュニケーションがとれないために、妻のこころの中には、子どものことしかない。「子どもが心配で心配で」と言い続けていないと、こころが空っぽになってしまうのです。しかし、親が子どもにしがみつけば、子どもは「自分の人生」を生きることができなくなってしまいます。

――上手な子離れの方法というものはあるのでしょうか?

(滝口) 親は、「子どもが巣立つときが来たら、子どものことを追わない。自分自身の人生を生きよう」と、こころに思っているだけでも違います。今まさに、子育て真っ最中のお母さん方も、「この子が無事に親離れしたら、私は何をしようかしら」と思い巡らせておくといいと思いますよ。

――では、すでに親の元を離れ、自分の世界を築き始めた子どもに対して、親はどこまで介入していいものでしょうか? 例えば、「子どもがあまり性質のよくない友達と付き合っているようだ」と感じたら、親が付き合いをやめさせてもいいものでしょうか?

(滝口) 年齢にもよります。小中学生ならば、子どもの世界はまだ狭いですから、親が助言することが必要です。そのとき、「付き合っちゃダメ」と「禁止」するのではなく、子どもの視野が広がるように仕向けられるといいですね。いろいろな世界があって、面白い人たちがたくさんいるのだ、と子どもが気付くことが大切なのです。
しかし、大人になった子どもの交友関係まで、親は関与できません。もし、子どもが20歳になって悪い仲間と付き合っているようならば、親は「育て方が悪かった」と反省するしかありませんね。それでも可能性はありますので、困ったときは専門家に相談しましょう。

――親子が深くかかわれるのは、泣いても笑っても十数年間しかないということですね。

(滝口) 本当にそう。ですから、一日一日を大切に、お子さんと向かい合ってくださいね。
最終回ということで、子育て中のママに、改めて言っておきたいことがあります。今は、世の中が大変な勢いで変わっている時です。親が生きてきた時代と、これから子どもが生きていく時代は、大きく違ってきています。親が、それまで蓄えた知識や経験だけを頼りに、子どもを導くことはできなくなっています。
こんな時代に、親が子どもに対してしてやれることは、「幼い日に十分に愛すること」なのです。子どもは、親から愛されたという実感が、生きていくエネルギーになります。ですから、子どもが親を必要としている間は、親はしっかりとかかわりましょう。

――子育てには終わりがないように思われがちですが、そうではないのですね。限られた時間だということを忘れず、悔いのないように、誠実に子どもと向き合っていきたいですね。

(滝口) 子育て中の皆さんが、お子さんとの生活の中で、今しか体験のできないことを大切にしてください。読んでくださった皆さんのご健康とお幸せと、お子さんの健やかなご成長を、こころからお祈りしています。さようなら。
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