ホーム > 特別レポート > 
特別レポート
【緊急特集】 小児救急が危ない!? 〜いっしょに考えよう、小児救急医療のこと〜

Vol.1 病院から小児科がなくなる!? Vol.2 医師たちの新しい取り組み Vol.3 親ができることってなに?



イラストレーション/片倉佳和


レポーター紹介
中本敦子さん
中本敦子/10歳、8歳、1歳のお子さんを持つママさんライター。「knowledge−子育ての基礎知識」の執筆も担当。今回は自らの経験を踏まえ、小児救急の現状を詳しく取材してくれました。
「小児救急医療が危ない」。そんな言葉を聞くと、子どもを持つ親なら誰でも不安になるのではないでしょうか。しかし、現場からは小児救急医療の悲惨な現状を訴える声が上がっています。e-mamaでは、いったい何が危ないのか、どんなふうに悲惨なのか、3回シリーズで小児救急医療の現状をリポートします。
今、小児科の現状を知ることは、親の義務といえるかもしれません。知ることによって私たち親ができることもきっと見つかるはず。いっしょに、小児救急医療のことを考えていきましょう!

Vol.1 病院から小児科がなくなる!?

救急医療体制の充実が子どもの命を救う
3人の子どもがいる私は、休日や夜間に救急医療を利用したことが10回を超え、救急車を利用したことは2回もあります。中でも長男が1歳のときは、ちょっと目を離したすきに全身に大やけどを負ってしまい、あわてて救急車を呼びました。
ところが、受け入れてくれる病院がなかなか見つからず、救急車は息子を乗せたまま走り出すことができません。その間に息子の意識は遠のいていきました。何ヵ所にも電話をして、ようやく隣りの隣りの区で受け入れてくれる病院が見つかり、ほっとしたのを覚えています。20分以上かかって病院に到着し、集中治療室に直行。担当医からは死も覚悟をするようにと言われましたが、幸運にも長男は驚くべき回復力で予定よりも早く退院することができ、今は元気すぎるくらい元気に学校に通っています。息子は不幸中の幸いで、救急医療のおかげで命を救われたのです。
しかし全国では、救急病院から次々診察を断られ、十分な処置を受けられないまま子どもが亡くなるという例がたびたび報告されています。
小児救急医療の充実度はエリアによってかなり開きがあります。でも、運がいいとか、充実している地域か否かで子どもの命が決められてしまうなんて、あってはならないことです。しかし現実にはこのような事故が起こり、今でさえ十分とは言えない小児救急医療体制なのに、次々と小児救急をやめる病院が出てきているのです。

減り続ける小児科医

図1を見てみると、医師の総数は増えているのに、小児科標ぼう医の数は減っているのがわかります。新たな小児科標ぼう医のなり手はなく、現在の小児科標ぼう医だけが続けていくということは、必然的に平均年齢も徐々に上がっていくことになり、現在、小児科医の高齢化も問題になっています(図2)。
子どもの数が減少していることを考えると、これから医者になろうとする若い人たちが「小児科には将来性がない」と考えて敬遠してしまうのはしかたがないことなのかもしれません。しかし、小児科が減る理由はそれだけではありません。
現在の診療報酬制度では、小児科は「薬等の使用量が少ない」「診療に手間がかかって大勢診られない」「季節により患者数が大きく変動する」といった点からほかの科に比べて利益が少なく、病院経営上の不採算部門となっているために十分な人数の専門医を雇わないところが多いのです。それどころか、赤字部門として小児科を閉鎖する病院さえ増えています。

小児科標ぼう医数の推移
医師の数は年々増えているが、小児科標ぼう医の数は減り続けている

東京都の小児科標ぼう医の年齢構成
医師全体では60歳以上の割合が23%だが、
小児科標ぼう医だけを見ると、60歳以上が44%に達する

→NEXT
このページをメールする